制限選手とは

 どうなってるの? その17

ある選手が制限選手登録されたと報道がありました。

制限選手という言葉はあまり馴染みがありませんが、どのような状態の選手のことを言うのでしょうか。

 

今回は制限選手とその他の処分について調べてみました。

 

 制限選手とは?

いきなり堅苦しい話ですが。。

 

野球協約に 第60条(処分選手と記載名簿)という項目があり、第60条の(2)に『制限選手と制限選手名簿(レストリクテッド・リスト)』があります。

 

この第60条には処分を受けた選手は『いかなる球団においてもプレイできない。』と規定されているため、制限選手として処分された選手はプレイができなくなります。

 

処分を受けるとプレイできなくなることはわかりました。では、どのような選手が制限選手となるのでしょうか。野球協約第60条を見てみましょう。

 

 野球協約 第60条とは?

第60条は、処分選手と記載名簿についての協約です。

協約とは『協議して約束すること、またその内容。』を言います。(*1)

 

選手が野球協約か統一契約書(*2)の条項に違反し、コミッショナーか球団から処分を受けた場合、程度によりいずれかの名簿に記載されると共に、いかなる球団においてもプレイすることができないとされています。

 

名簿は以下の4種類となります。

 

note
(*1) 出典元:Weblio辞書
https://www.weblio.jp/content/協約
(*2) 統一契約書
球団と選手との間に締結される選手契約条項は、統一様式契約書による。と野球協約第45条に定められています。

 

 (1) 出場停止選手と出場停止選手名簿 (サスペンデッド・リスト)

支配下登録されている選手に対し、選手が所属している球団、もしくはコミッショナー、またはその両者が出場停止処分を科した場合、コミッショナーによりその旨公示され、出場停止選手名簿に記載されます。

 

どのような場合に出場停止処分の対象になり、どのような処分が科されるのでしょうか。

 

 ◆対象

①不品行であったり、②野球規則及び③セントラル野球連盟、④パシフィック野球連盟それぞれのアグリーメントに違反した場合とされています。

 ◆処分

①適当な金額の罰金、または②適当な期間の出場停止、もしくは③その双方が科されます。また、コミッショナーにより出場停止選手として公示され、出場停止選手名簿に記載されます。

 ◆復帰

出場停止処分を科された選手の復帰タイミングは、出場停止期間の終了時となります。

 ◆参加報酬

参加報酬は1日につき、参加報酬の300分の1に相当する金額を減額することができます。減額される場合はこれに消費税、地方消費税が加算されます。

 

 (2) 制限選手と制限選手名簿 (レストリクテッド・リスト)

選手が個人的な事由により野球活動を休止する場合、その選手が所属している球団は、その選手を制限選手とする理由を記載した申請書をコミッショナーに提出します。

コミッショナーがその申請が正当であると認めた場合に受理され、野球協約第78条第1項の復帰条件付きの制限選手として公示され、制限選手名簿に記載されます。

 

 ◆復帰

※第78条第1項に関しては、以降で見ていきます。

 

 ◆参加報酬

参加報酬は1日につき、参加報酬の300分の1に相当する金額を減額することができます。減額される場合はこれに消費税、地方消費税が加算されます。

 

 (3) 資格停止選手と資格停止選手名簿 (ディスクオリファイド・リスト)

本協約以外に定めた規約のほか、統一契約書、または野球協約第68条に規定する(保留の効力)に違反した選手はコミッショナーにより、野球協約第78条第1項の復帰条件付きの資格停止選手として公示され、資格停止選手名簿に記載されます。

 

また、選手がウエイバー(*3)手続きによる移籍を拒否した場合も資格停止選手となります。(第118条 選手の反対通告)

 

 ◆復帰

※第78条第1項に関しては、以降で見ていきます。

 

 ◆参加報酬

参加報酬は1日につき、参加報酬の300分の1に相当する金額を減額することができます。減額される場合はこれに消費税、地方消費税が加算されます。

 

note
(*3)
ウエイバーとは球団が契約期間中に選手の保有権を放棄すること。
ウエイバー公示後、公示期間内に譲渡を希望する球団がなければその選手は自由契約となります。

 

 (4) 失格選手と失格選手名簿 (インエリジブル・リスト)

野球協約第177条に規定する行為をした選手はコミッショナーにより、永久失格選手として指名され、失格選手名簿に記載されます。

 

また、野球協約第180条に規定する行為をした選手はコミッショナーにより、1年間、または無期の失格選手として指名され、失格選手名簿に記載されます。

 

 ◆復帰

※復帰に関しては、野球協約第10章 復帰手続 の規定により行われます。

 

 補足

第60条で規定されている協約の規定内容は以下となります。

 

 第68条とは

第68条は(保留の効力)に関しての協約になります。

 

まず、

球団は毎年11月30日以前に、その年度の支配下登録選手のうち次年度も契約締結の権利を保留する選手と、任意引退選手、制限選手、資格停止選手、失格選手を全保留選手とし全保留選手名簿をコミッショナーに提出します。

 

コミッショナーは毎年12月1日以前にこの名簿を点検し、12月2日に公示します。

ということが第66条、第67条で規定されています。

 

第68条は、

球団はこの全保留選手名簿に記載した契約保留選手、任意引退選手、制限選手、資格停止選手、失格選手に対し保留権を有します。

そのため選手はその球団の同意なく、いかなる球団と契約に関する交渉を行ったり、他球団のために試合や合同練習などすべての野球活動を禁止することが規定されています。

 

 第78条 第1項とは

第78条は(復帰すべき球団及び引退中のプレイ)に関しての協約になります。

 

第78条第1項には、コミッショナーにより復帰申請が許可されるためには、任意引退選手、有期または無期の失格選手は、引退または処分当時に所属していた球団に復帰しなければならないとあります。

 

第60条により処分を受けた選手が復帰するには、処分当時に所属していた球団へ復帰が必須条件になります。

 

 第118条とは

第118条は(選手の反対通告)に関しての協約になります。

 

球団からのウエイバー手続きによる移籍を選手が拒否した場合、選手は資格停止選手となります。

 

 第177条とは

第177条は(不正行為)に関しての協約になります。

 

選手、監督、コーチ、または球団、この組織の役職員などが不正行為をした場合、コミッショナーは該当する者を永久失格処分として以後、この組織内のいかなる職務につくことも禁止されます。

 

以下のような行為は不正行為とされます。

  1. 所属球団の試合で、故意に敗れる、または敗れることを試みる、あるいは勝つため最善の努力を怠るなどの敗退行為をすること
  2. 前号の敗退行為を他の者と通謀すること
  3. 試合に勝つために果たした役割、または果たしたと見なされる役割に対する報酬として、他の球団の選手、監督、コーチに金品を与えるもしくはその旨を申し込むこと
  4. 試合に勝つための役割を果たした者、または見なされる者がその役割に対する報酬として金品などを強要し、あるいはこれを受け取ること
  5. 作為的に試合の勝敗を左右する行動をした審判員、または行動したと見なされる審判員に対し、その報酬として金品などを与えること、またはこのような申し入れをすること
  6. 所属球団が直接関与する試合について、賭け をすること

 

 第180条とは

第180条は(賭博行為の禁止及び暴力団員等との交際禁止)に関しての協約になります。

 

選手、監督、コーチ、または球団、この組織の役職員などが以下の行為をした場合、コミッショナーは該当する者を1年間の失格処分、または無期の失格処分とします。

 

以下のような行為を行った場合、処分対象となります。

  1. 野球賭博常習者と交際、または行動を共にし、これらの者との間で金品の授受、饗応(きょうおう:酒や食事を出して人をもてなすこと)、その他一切の利益を収受し、もしくは供与し、要求し、申し込みまたは約束すること
  2. 所属球団が直接関与しない試合、または出場しない試合について賭けをすること
  3. 暴力団、あるいは暴力団と認められる団体の構成員、または関係者、その他の反社会的勢力(以下、暴力団員等という)と交際、または行動を共にし、これらの者との間で金品の授受、饗応、その他一切の利益を収受しまたは供与し、要求または申し込み、約束すること

 

 

第180条の2は(球団による暴力団員等の球場への入場禁止措置)に関しての協約になります。

  1. この協約は暴力団員等が、当該球団の専用球場及び、ホームゲームを行う地方球場に立ち入ることを禁止するよう最大限努力することを規定しています。

 

 

第180条の3は(球団による球場に対する協力要請)に関しての協約になります。

  1. 球団は、球場を所有または管理する者に対して、球場の役職員、あるいはその他球場の運営にかかわる組織に所属している個人が、第180条の各号の行為をしないよう監督すること、前条の措置を実行するために必要な協力を求めることを規定しています。

 

 

 最後に

制限選手は、選手自身の個人的事由により野球活動を休止する場合、コミッショナーにその旨申請・受理された選手のことを言うのですね。

復帰する際にもルールがあり、コミッショナーに許可されないと復帰できないこともわかりました。

 

処分を受けると野球そのものができなくなってしまうこと、程度によっては失格選手として球界に残れないことなどもわかりました。選手が自分自身のためにはもちろんですが、応援しているファンのためにもいつまでもプレイできるようルールを守り、長く球界に携わって頂きたいですね。

 

今回は制限選手とその他の処分について調べてみました。

 

出典元
NPB 公式サイト
http://npb.jp/announcement/2020/pn_restricted.html
日本プロ野球選手会 公式ホームページ 野球協約2017
http://jpbpa.net/up_pdf/1523253145-022870.pdf
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』支配下選手登録
https://ja.wikipedia.org/wiki/支配下選手登録
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』ウェイバー公示
https://ja.wikipedia.org/wiki/ウェイバー公示
スポニチ ウエーバーとは?その仕組みを分かりやすく解説
https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2011/08/14/kiji/K20110814001409190.html