セットポジションとは

 どうなってるの? その19

野球中継を見ていると投手が投げるときに実況で『セットポジションに入った』と言うことがあります。

 

投手が投球するときはマウンドのプレートに足が触れていなければいけないというのは聞いたことがあるのですが、セットポジションとはどういう状態のことを言っているのでしょうか。投球するときにセットポジション以外にもなにかあるのでしょうか。

 

今回はセットポジションとその他について調べてみました。

 

 試合は投球から始まる

野球の試合は投手が打者へ投球することにより始まります。ということで、まずは投球について見てみましょう。

 

 投球

投球は以下の動作手順で行われます。

 

  1. 投手は、打者の構えが十分であることを確認し、ワインドアップポジション、もしくはセットポジションの投球姿勢を取ります。
  2. 軸足をマウンド上の投手板(プレート)に触れて置きます。投手が右投げの場合は右足、左投げの場合は左足が軸足となります。
  3. 捕手に向けてボールを投げます。

 

投球が打者に打たれず、ボールがストライクゾーンを通過した場合はストライク、外れた場合はボールとなります。

 

注意点

  1. 捕手とのサイン交換は、投手の足が投手板に触れてからでなければなりません。サインを確認した後は投手板から足を外すことは差支えありませんが、外したあと素早く投手板を踏み出して投球することは許されません。このような投球は審判員にクイックピッチ(*1)と判断されます。
  2.  
  3. 投手は投手板から足を外したら必ず、両手をからだの両側におろさなければなりません。
  4.  
  5. 投手がサインを見終わる度に投手板から足を外すことは許されません。
  6.  
  7. 投球時、本塁方向に2度目のステップを踏むことは許されません。2度目のステップを踏んでしまった場合、塁上に走者がいるときはボーク(6.02(a))となり各走者は1個の進塁権が与えられます。走者がいないときは反則投球(6.02(b))となり、ボール判定となります。

 

 (*1)

クイックピッチとは打者が構え終わる前に投球動作にはいることを指します。クイックピッチは反則投球であり、塁上に走者がいればボーク、いなければボールとなります。

 

 

公認野球教則の『5.07(a) 正規の投球姿勢』ではワインドアップポジションとセットポジションの2つを正規の投球姿勢としています。どちらの投球姿勢を取るかは選手により異なります。

 

セットポジションとは投手の投球姿勢のことなのですね。では、この2つはどのような投球姿勢なのか、それぞれ見ていきましょう。

 

 ワインドアップポジション

一般的なワインドアップポジションの動作手順は以下となります。

 

  1. 投手は打者に面して立ち、軸足を投手板に触れた状態で両手でボールを持ちます。この際投手板に触れていない方の足(軸足でない方の足)は投手板の前後どちらに置いてもよく、制限はありません。
  2. 軸足でない方の足を投手板の後ろ(2塁方向)に引くと同時に、両腕を頭の上に振りかぶります。この時、振りかぶらず両腕を胸の前に構える場合もあります。(*2)
  3. 軸足でない方の足を地面から離し、軸足で体重を支え、利き手の向きに腰を捻じります。
  4. 本塁方向へ体重移動すると同時に、軸足でない方の足を投手板の前方へ大きく踏み込みます。その時に軸足で投手板を蹴り、軸足でない方の足へ体重を完全に移動させその推進力を利用してボールを投げます。

※右投げの投手は右足が、左投げの投手は左足が軸足となります。

 

 (*2)

ノーワインドアップと呼ばれます。

ノーワインドアップは正規に規定されていない、あくまで通称として用いられる投球姿勢で、投球動作はワインドアップポジションと共通です。

 

ワインドアップとの相違点は、両腕を振りかぶらず、胸の前に構えたまま投球動作を進めるところになります。

 

ワインドアップに比べると両腕を振りかぶらないため動きに制限があり、反動が付かない分、球速が出にくいですがその反面、重心が振れにくくなるため制球しやすいとされています。

 

注意点

  1. 投手は、打者に面して立ち、軸足は投手板に触れ置き、軸足でない方の足の置き場所に制限はありません。
  2.  

この姿勢から、

  1. 投手は、①打者に投球しても、②走者をアウトにしようとして塁に踏み出して送球しても、③投手板を外しても 良いとされています。
  2.  
  3. ③の場合、投手板を外すときは最初に軸足から外さなければなりません。また、ボールを両手で保持していた場合は投手板を外した後、両手を身体の両側におろさなければなりません。
  4.  
  5. 打者への投球動作を起こしたら中断や変更をせず、その投球を完了しなければなりません。
  6.  
  7. 実際に投球する時以外は両足が地面についていなければなりません。ただし、実際に投球するときは、軸足でない足を1歩後方(2塁方向)へ引き、さらに1歩前方(本塁方向)へ踏み出すこともできます。
  8.  
  9. 投球動作のなかで軸足でない方の足を投手板の後方に引く動作には比較的時間がかかるため、塁上に走者がいる場面では盗塁されやすくなってしまいます。なので、走者が出塁している場合はもう1つの投球姿勢であるセットポジションが用いられます。
  10.  
  11. ただし、2アウト/2ストライク/3ボール/満塁時や、3塁のみに走者がいる場合、点差が大きく離れ、盗塁を気にしなくてもよい場合ではこの限りではありません。
  12.  
  13. 両手を大きく振りかぶるワインドアップポジションは、その反動を利用することで体を大きく使えるので球速を得られますが、反面、精緻なコントロールが難しいとされています。

 

 セットポジション

一般的なセットポジションの動作手順は以下となります。

 

  1. 軸足を投手板に触れた状態で、軸足でない方の足を投手板の前方(本塁方面)に置き、片方の手を下におろし身体の横に付けます。
  2. ボールを両手で体の前方で持ち、完全に静止します。
  3. 軸足でない方の足を地面から離し、前方へ体重移動しながら投手板前方に動かします。
  4. 軸足でない方の足で投手板前方の地面へ大きく踏み込み、軸足で投手板を蹴りボールを投げます。

※右投げの投手は右足が、左投げの投手は左足が軸足となります。

 

注意点

  1. 投手は、打者に面して立ち、軸足は投手板に触れ、軸足でない方の足を投手板の前方に置き、身体の前で両手でボールを保持し、完全に動作を静止した ときにセットポジションをとったとみなされます。
  2.  

この姿勢から、

  1. 投手は、①打者に投球しても、②塁に送球しても、③軸足を投手板の後方に外しても 良いとされています。
  2.  
  3. ただし、③の場合、投手板から軸足を外すときは後方のみに限られています。
  4.  
  5. 打者への投球動作を起こしたら中断や変更をせず、その投球を完了しなければなりません。
  6.  
  7. セットポジションは、ワインドアップポジションよりも投球動作を短縮できます。クイックモーション(*3)との併用により速やかに投球することが可能となり、盗塁阻止率の向上につながります。
  8.  
  9. 加えて、牽制球を投じやすくなることから主に塁上に走者がいる場合に用いられます。
  10.  
  11. ノーワインドアップと同様に、制球力の向上などを目的として走者の有無に関わらず常にセットポジションを用いる投手もいます。
  12.  
  13. 走者が塁にいない場合、セットポジションを取った投手は必ずしも静止する必要はありません。しかしながら、投手が打者の隙をついて意図的に投球したと審判員が判断すれば、クイックピッチとみなされボールが宣告されます。

 

 (*3)

クイックモーションとは、投手の投球動作を小さく、素早くすることで盗塁を防ぐ投法です。クイックモーションは和製英語で、メジャーリーグベースボールではスライドステップと呼ばれます。

 

 

今回はワイルドアップポジションとセットポジションについて調べてみました。

 

出典元
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』投球
https://ja.wikipedia.org/wiki/投球
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』クイックモーション
https://ja.wikipedia.org/wiki/クイックモーション
公認野球規則
5.07(a) 正規の投球姿勢
6.02 投手の反則行為