国内FA・海外FAとは
どうなってるの? その13
Create:2019/10/17
盛り上がりを見せたクライマックスシリーズが終わると、FA資格を取得した選手名簿が公示されます。
日本シリーズが終わるとFA権を行使する選手が公示されます。そして球団と選手の交渉が始まり、移籍が決まり、場合によっては人的補償により移籍する選手も登場し。。。
今回は、国内FA・海外FAについて調べてみました。
FAとは?
まず、FAとはどういうことでしょうか。
FAはフリーエージェントのことで、FAには国内FAと海外FAとがあります。
◆国内FA
NPBが定めた国内FA資格条件を満たした場合に権利を取得でき、NPBのいずれの球団とも選手契約を締結できる権利をもつ選手をいいます。
◆海外FA
NPBが定めた海外FA資格条件を満たした場合に権利を取得でき、外国のプロ野球球団も含め国内外のいずれの球団とも選手契約を締結できる権利を持つ選手をいいます。
権利のことを『フリーエージェント権』といい、権利を行使することを『フリーエージェント宣言』といいます。
国内FA
国内FAについて、資格取得条件や、権利行使、移籍までを見ていきます。
国内FA権の資格取得条件
国内FA権は、出場登録日数が8シーズンを満たした場合に取得できます。
ただし、2007年以降に行われたドラフトで入団した大学生・社会人の場合は7シーズンを満たした場合に取得できます。
◆1シーズンの換算の仕方
出場登録日数は1軍に登録された日数のことで、登録された日数が145日を1シーズンとして換算します。
条件を満たすには、8シーズンx145日=1160日(7シーズンの場合は1015日)の1軍登録が必要です。
- 1シーズン中に145日以上1軍登録されていても、最大145日までしかカウントされません。
- 1軍登録された日数が145日に満たないシーズンが複数ある場合は、それらを合算して145日を1シーズンとしてカウントします。
- クライマックスシリーズでの登録や、途中で所属球団が変わった場合でも引き継いでカウントされます。
故障者選手特例措置制度
2007年より導入された選手の出場登録日数を救済する制度です。
◆前提条件
前年度の出場登録日数が145日を満たしている選手がこの制度の適用対象となります。
◆措置内容
2月1日から11月30日までの間にグラウンドで発生した故障や怪我により登録抹消となり、そのため登録日数が145日に満たなかった場合に特例措置が適用されます。
怪我などで登録抹消された日から2軍公式戦に出場した日までの日数が加算されます。また、数回にわたり登録抹消された場合も累計して加算されます。
ただし、加算される日数は最大60日までとされています。
◆措置による制約
この特例措置により登録日数が145日以上になった場合、翌シーズンはこの制度の適用対象外となります。
投手の登録日数加算に関する特例措置
2007年より導入された投手の出場登録日数を救済する制度です。
◆前提条件
先発ローテーション投手と球団が判断した投手が適用対象となります。
◆措置内容
- 先発ローテーション選手が開幕から7日以内に登録された場合は、開幕から登録されていたものとみなして登録日数に加算します。
- また、オールスターゲーム第1戦予定日の7日前以降に登録抹消され、かつオールスターゲームの最終戦後7日以内に再登録された場合、抹消された日から再登録前日までの日数を登録日数に加算します。
FAに関する公示等
◆FA資格取得選手の公示
コミッショナーは、セリーグ・パリーグの公式戦が終了後、セ・パの公式戦終了が遅い方の終了日2日後に、その年にFA資格を取得した選手、および、FA資格を持続している選手の名簿を公示します。
選手が海外FA資格を取得している場合はその旨も明示します。
2019年を例にとると、セ・パのクライマックスシリーズが10/13(日)に終了し、その2日後の15日にFA資格を取得した選手の名簿が公示されました。
◆FA宣言する選手の公示
FA資格を持つ選手がFA宣言(権利を行使)する場合は、日本シリーズが終了した翌日から土・日・祝日を除いた7日以内にコミッショナー宛に文書で申請します。
申請した選手は8日目の午後3時にコミッショナーより『FA宣言選手』として公示され、翌日より国内外の全ての球団と交渉開始が可能となります。
◆FA権の再取得
FA宣言選手として公示された選手は、残留・移籍を問わず選手としてプレイし、1軍登録日数が4シーズンに達したときに海外FA権を取得します。
FA宣言選手として公示されなければ(FA権を行使しなければ)、権利は翌年以降に持ち越されます。
◆外国人選手のFA権取得
外国人枠の選手が国内FA権を取得すると、行使するか否かに関わらず、翌シーズンより外国人枠から外れ日本人選手と同等の扱いとなります。
国内FAにおける制約および補償
選手がFA宣言して他球団に移籍する場合、選手自身に対する年棒の制限や移籍先球団から移籍前球団への補償制度があります。
◆年棒
FA宣言した選手の翌シーズンの年棒は現状維持が上限額となります。
減額については制限がないため、通常の減額制限を超えての減額も可能です。が、年棒調停の申請はできません。
年棒調停とは、選手と所属球団が、所属している連盟に対して参稼報酬(年棒)の調停を申請する制度です。
年棒の上限が現状維持となっている理由は複数球団による過度な獲得競争を防止するためであり、契約年数や出来高払い、2年目以降の年棒上昇についての制限はありません。
但し、特別な事情がある場合、コミッショナーに申請し、認められた場合は制限を超える金額での契約が可能となります。
◆契約金
FA宣言した選手は、年棒とは別に契約金を得ることができます。
- 球団に残留する場合は契約金の上限はありません。
- 移籍する場合は翌シーズンの年棒の半額が契約金の上限額となります。
※契約内容により契約金が無い場合もあります。
◆補償
FA宣言した選手が補償対象選手の場合、移籍先球団は移籍前球団に対して金銭補償、人的補償をしなければなりません。
補償内容は補償対象選手のランクにより異なります。
補償対象選手とは・・
球団ごと日本人選手を対象に前球団の旧年棒を降順に上位3位までをA、4~10位までをB、11位以下をCとランクづけします。
尚、旧年棒が同じ選手がいた場合は出場登録日数の総数が多い選手の順位を下とし、出場登録日数の総数も同じ場合は年齢が上の選手の順位を下とします。
順位づけした選手のうち、ランクがAまたはBの選手が補償対象選手です。
補償内容
ランク | 人的補償あり | 人的補償なし |
---|---|---|
A | 旧年棒の50%の金銭 獲得制限外の選手1名 |
旧年棒の80%の金銭 |
B | 旧年棒の40%の金銭 獲得制限外の選手1名 |
旧年棒の60%の金銭 |
1度FA宣言した選手が4シーズン経過後、再度FA宣言した場合の補償は以下となります。
ランク | 人的補償あり | 人的補償なし |
---|---|---|
A | 旧年棒の25%の金銭 獲得制限外の選手1名 |
旧年棒の40%の金銭 |
B | 旧年棒の20%の金銭 獲得制限外の選手1名 |
旧年棒の30%の金銭 |
獲得制限外とは・・
FA宣言選手を獲得した球団(移籍先球団)の支配下登録選手のうち、外国人選手および球団が任意に定めた28名(プロテクト)の選手は人的補償の対象外となります。そのため移籍前球団は、プロテクトされていない選手から1名獲得することになります。
◆FA補償手続き手順
FA宣言選手と移籍先球団との契約締結がコミッショナーにより公示された日が起点となり、以下日程で補償手続きが進められます。
- 起点から2週間以内
- 移籍先球団が獲得制限選手を除いた選手名簿を移籍前球団に提示します。
- 起点から40日以内
- 全ての補償を完了しなければなりません。
- ただし、金銭補償に限り、前球団の同意があれば40日延長することが可能です。
◆補償に関する例外
- FA宣言選手が、宣言した年の翌々年の11月30日までにNPBに所属するいずれの球団とも契約締結せず、翌々年の12月1日以降にNPBに所属するいずれかの球団と契約締結した場合は、移籍先の球団は前球団に補償する必要はありません。
- 人的補償として選ばれた選手がそれを拒否した場合、その選手は資格停止選手となり処分が解除されるまで試合に出場できず、補償については金銭補償のみの場合と同じになります。
◆FA選手の獲得人数制限
獲得人数制限に該当するFA宣言選手は、FA宣言後移籍した選手でランクがAまたはBの選手です。FA宣言後残留した選手、ランクがCの選手はこの制限に該当しません。
- FA宣言している選手のうち、球団が獲得できる(選手契約を締結できる)選手数は2名までに制限されています。
- ただし、FA宣言選手が21~30名の年度は3名まで、31~40名の年度は4名まで、41名以上の年度は5名まで、選手契約を締結することができます。
◆FAに関する諸々
- FA宣言選手として公示された選手でも、11月30日までは前球団と交わした統一契約書により、前球団が指定する行事には参加する義務を負います。
- FA選手を獲得した球団は、その選手が国内FA宣言しなければ海外FA資格を取得できたであろう時点まではポスティングの手続きを採らないこととされています。
海外FA
海外FA権は、出場登録日数が9シーズンを満たした場合に取得できます。
また、国内FA宣言後、出場登録日数が4シーズンに達した場合にも海外FA権が取得できます。
海外FAには国内FAのような制約はありません。
ただし、海外FA宣言して外国でプレイ後、FA宣言の翌々年11月30日までにNPBのいずれかの球団へ再移籍した場合は、NPBで最後に在籍していた球団への補償が必要となるようです。
今回は、国内FA・海外FAについて調べてみました。
- 出典元
- 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 フリーエージェント_(日本プロ野球)
- https://ja.wikipedia.org/wiki/フリーエージェント_(日本プロ野球)
- NPB公式サイト フリーエージェントについて
- http://npb.jp/announcement/2019/fa_about.html
- http://npb.jp/announcement/2018/fa_about.html
- 日本プロ野球選手会・公式ホームページ
- http://jpbpa.net/transfer/
- http://jpbpa.net/up_pdf/1284364512-578244.pdf
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