ポスティングシステムとは
どうなってるの? その14
Create:2019/11/18
プロ野球のシーズンが終わると、FAによる他球団への移籍やポスティングシステムによるアメリカ・メジャーリーグ球団への移籍が話題になります。
日本のプロ野球選手がメジャーリーグでプレイしたい場合、どのような方法でメジャーリーグの球団に移籍できるのでしょうか。
また、ポスティングシステムとは、①どのようなシステムで、②どのような選手が利用するのでしょうか。
今回は、ポスティングシステムを中心にメジャーリーグ球団への移籍方法について調べてみました。
ポスティングシステムってなに?
普通考えるに、契約期間が途切れたタイミングであれば、プロ野球選手は移籍するために他球団と直接交渉してもよさそうなものですが。。ダメなのでしょうか。
実はNPBには保留制度というものがあり、これにより選手が他球団と直接交渉すること、練習に参加することを禁止しています。
保留制度とは『球団が保留権を有している選手は、国内外を問わず、他球団に移籍するための契約交渉をすることや練習に参加することを禁止する制度』です。そのため選手は自分の意思で他球団に移籍することはできません。
但し、選手がFA権を取得するとこの権利を行使することにより、選手の意思により他球団と契約交渉を行うことができるようになります。
では、ポスティングシステムとはどのようなシステムなのでしょうか。
日本のプロ野球選手がアメリカのメジャーリーグへ移籍するために利用できるシステムの1つで、日本野球機構(NPB)とアメリカメジャーリーグ機構(MLB)との協定に基づき、FA権を取得していない日本のプロ野球選手がメジャーリーグ球団へ移籍できるシステムです。
選手がポスティングシステムを利用するのに出場登録日数などの条件はありませんが、海外FA権とは異なり、球団が容認してくれなければポスティングシステムを利用することはできません。
ポスティングシステム利用時のフロー
ポスティングシステムを利用する時の手続きの流れを見ていきます。
◆どのような選手がポスティングシステムを利用する?
日本のプロ野球選手で、メジャーリーグ球団への移籍を希望しているが海外FA権を取得していない選手がメジャーリーグ球団への移籍を目指す場合に利用します。
◆どうすればポスティングシステムを利用できる?
ポスティングシステムは所属球団が容認した場合に限り利用できるシステムです。ポスティングシステムを利用してメジャーリーグ球団に移籍したい選手は、まずは所属球団にその旨、交渉する必要があります。
◆球団容認後の流れ
11月1日から12月5日まで申請が可能です。選手の所属球団は、NPBコミッショナーを通じてMLBコミッショナーに対してその選手が契約可能であることを伝えます。
その後、MLBコミッショナーからメジャーリーグの全30球団にその旨が告知(ポスティング)され、選手は譲渡金支払いの意思のある球団全てと30日間交渉ができます。
◆契約成立後
選手がより良い条件のメジャーリーグ球団を選び契約が成立した場合、選手はメジャーリーグ球団へ移籍となります。また、日本の球団は選手の契約金、年棒、バイアウト(契約解除)額の総額から以下の割合でメジャーリーグ球団から譲渡金が支払われます。
また、年度ごとの出来高払いがある場合は出来高額の15%が追加譲渡金としてメジャーリーグ球団から日本の球団に支払われます。
<契約総額に応じた譲渡額の割合>
- 総額の2500万ドルまでは20%
- 総額の2500万ドルから5000万ドルまでは17.5%
- 5000万ドルを超えた分は15%
譲渡額=A+B+C
例:総額が6000万ドルの場合の譲渡金額は・・
A=2500万ドルx20% = 500万
B=2500万ドルx17.5% = 437.5万
C=1000万ドルx15% = 150万
∴500万ドル+437.5万ドル+150万ドル=1087.5万ドルが譲渡金額となる。
例:総額が4500万ドルの場合の譲渡金額は・・
A=2500万ドルx20% = 500万
B=2000万ドルx17.5% = 350万
C ・・なし
∴500万ドル+350万ドル=850万ドルが譲渡金額となる。
※2017年までは譲渡金の上限が2000万ドルでしたが、2018年から選手の年棒総額に応じて決まる変動制に改訂されました。
◆入団交渉なし、もしくは交渉決裂の場合
残念ながら入団交渉がどの球団からもない、もしくは交渉が決裂した場合、選手は日本の球団に残留することとなります。
ポスティングシステム以外の方法は?
ポスティングシステム以外の方法でアメリカメジャーリーグ球団に移籍するには以下の方法があります。
海外FA権の行使
選手自身が入団交渉してきたメジャーリーグ球団の中から自分の移籍したい球団を選ぶことができます。日本の所属球団の容認等は不要です。
海外FA権を行使する場合は国内FA権を行使するときと同様、日本シリーズ終了の翌日から土日祝を除いた7日以内に所属球団を通じてNPBに書類を提出、締切翌日にNPBからその旨公示、公示の翌日から交渉が解禁となります。
自由契約
自由契約の状態では、国内外、プロ・アマ問わずあらゆる球団と交渉することができます。
ポスティングシステムは随時改訂されています。メジャーリーグでプレイするという選手の夢が、納得できるかたちで実現できるようになることを切に願います。
今回は、ポスティングシステムを中心にメジャーリーグ球団への移籍方法について調べてみました。
- 出典元
- 日刊スポーツ 今年から新制度/菊池雄星が利用のポスティングとは
- https://www.nikkansports.com/baseball/mlb/news/201812280000677.html
- サンスポ 筒香がメジャー挑戦へ!
- https://www.sanspo.com/baseball/news/20191008/den19100805050004-n1.html
- 日本プロ野球選手会 公式ホームページ 移籍の活性化
- http://jpbpa.net/transfer/?id=1285571257-261238
- Career Garden プロ野球選手の仕事
- https://careergarden.jp/baseball/merger-league-ikikata/
- 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』自由契約
- https://ja.wikipedia.org/wiki/自由契約
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