育成選手とは
どうなってるの? その18
Create:2020/03/27
プロ野球選手には支配下選手と育成選手がいます。
支配下選手はセ・リーグ、パ・リーグの公式戦に出場しますが、育成選手は出場しません。同じプロ野球球団に所属している選手なのになぜでしょう。
また、支配下登録期限は7月末日となっているのですが、新入団の外国人選手の支配下登録期限は3月いっぱいと耳にしました。(。´・ω・)?
今回は育成選手について調べてみました。
育成選手制度
日本プロ野球選手会の公式ホームページ(*1)に『日本プロ野球育成選手に関する規約』が掲載されています。これは野球協約の第23章に記載されている別に定められた規約にあたります。
この規約には、野球協約の第11章に定めた「支配下選手70名の枠外の選手」として球団に所属し、支配下登録を目指して指導を受け野球技能など一層の錬成向上を受ける選手の保有と取扱いについて定められています。
- (*1)日本プロ野球選手会 公式ホームページ
- http://jpbpa.net/
育成選手とは
支配下登録という目標達成を目指し、野球技術の錬成向上やマナー養成などの野球活動を行うため、球団と育成選手契約を締結した選手をいいます。
育成選手の保有資格
まず・・。
球団が育成選手を保有するには、7月末日時点で65名以上の支配下選手を保有していなければなりません。
育成選手を保有している球団が、6月末時点に支配下登録選手数が65名に満たない場合、①育成選手を支配下選手に移行する、②他から支配下選手を採用するなどしなければなりません。どのような方法をとるか、7月末までに実行委員会(*2)で説明しなければならないとされています。
球団の支配下選手が65名に満たない場合であっても、実行委員会が調査の上、育成選手制度の目的を害さないと認め承認した場合には育成選手を保有することができます。
(*2)
実行委員会に関しては野球機構の第3章に規定があります。
実行委員会はNPBの合議・議決機関であり、機構の理事会及びオーナー会議の指示監督を受けます。実行委員は各球団代表者1名からなります。
育成選手の人数
球団が育成選手を保有する場合、育成選手の人数制限は特に定められていません。
育成選手の採用
新人選手を育成選手として採用するには、2次ドラフト(育成選手ドラフト)での選択によります。
ドラフト時の指名人数は12球団合計で120名となっていますが、1次ドラフト(支配下選手)のみならず、2次ドラフト(育成選手)の人数もこの120名の枠に含まれます。
但し、新人選手に該当しない支配下選手や、外国人選手を育成選手として採用する場合は、上記は適用されません。
また、7月1日以降に採用した場合、その年度は3年間(3シーズン)のうちの1シーズンとして算入しません。
2次ドラフトで指名された選手が指名球団と契約できなかった場合、翌年以降、いかなる球団も、再度、2次ドラフトで指名することができます。ただし、ドラフト会議後1年間はいかなる球団も育成選手・研修生として契約することはできません。
育成選手の契約
育成選手の参加報酬の対象期間は1月1日~12月末日までとなります。ただし、その期間に在学中の選手に関しては初年度のみ、3月1日~12月末日が対象期間となります。
最低参加報酬は年額で230万円です。2次ドラフトで指名された新人選手の支度金標準額は290万円(+消費税、地方消費税)となっています。
契約を締結した球団は、コミッショナーに契約書を提出、承認を受けて初めて効力が発生します。承認されると育成選手名簿に登録、開示されます。
育成選手の野球活動
育成選手は、野球技術の錬成向上及び品位あるマナーの養成などを目的として、球団の監督・コーチ等の指導・教育・指示に従い『野球活動に専念しなければならない』とあります。
育成選手はどのような野球活動するのか、活動範囲を見てみましょう。
育成選手は、①2軍の公式戦、②フレッシュオールスターゲーム、③ファーム日本選手権、④1軍・2軍の非公式試合 に出場し、練習に参加することができます。
非公式試合とは、春季オープン戦、春季教育リーグ、秋季教育リーグ、チャレンジマッチなどを指します。
2軍の公式戦に出場できる育成選手は、1試合、1球団5名以内と限られています。
育成選手が2軍の公式戦試合に出場するときは球団統一のユニフォームを着用しなければならず、背番号も3桁の番号を使用することとなっています。2軍公式戦以外の試合時に着用するユニフォームは球団の定めるところによります。
実行委員会の承認を得れば、日本国内の独立プロ野球リーグに所属する球団に、選手を一定期間、派遣することができます。また、海外チームに派遣することもできますが、そのときは事前にコミッショナー事務局に届け出が必要です。
球団単独もしくは複数球団により育成選手からなるチームを結成し、クラブチームとして日本野球連盟に加盟することもできます。
育成から支配下へ
球団は、選手の制限人数の範囲内であれば、育成選手を支配下選手として契約を締結することができます。この場合、野球協約第8章の選手契約に則り、統一様式契約書による選手契約の締結を行い、支配下選手としての手続きをとらなければなりません。
逆に、支配下から育成に移行する場合は、野球協約第58条の自由契約選手の手続き後でなければなりません。参稼期間中に支配下選手契約を解除した球団は、その年度中に、その選手と、育成選手契約を締結することはできません。
育成契約の初年度26歳以上の外国人選手の場合、育成から支配下へ移行できる期限は、3月末日までとなります。
育成選手の在籍期間
育成選手として入団後3年間(3シーズン)在籍していた選手が、その翌年度、支配下選手として契約されない場合は、11月末日をもって自動的に自由契約選手となります。
この規定により自由契約になった選手に対して、所属していた球団を含む各球団は、開示翌日から支配下選手もしくは育成選手として契約交渉、契約締結ができます。
以降もその選手に対して1年(1シーズン)ごとに同様の手続きにより育成選手契約をすることができます。
球団は育成選手の翌年度の契約保留者名簿を10月末日までにコミッショナーに提出、コミッショナーはこれを開示します。この名簿に登載されていない選手は自由契約選手となり、開示翌日からいずれの球団とも支配下、もしくは育成の選手契約ができます。
支配下選手が育成選手として契約した翌年度に、支配下選手として契約されない場合は自由契約選手となることができます。
この場合球団は、原則として10月末日までに自由契約選手として開示手続きをとります。開示翌日から所属していた球団を含む各球団と支配下、もしくは育成の契約交渉、契約締結をすることができます。
育成選手の移籍
球団は、保有している育成選手を7月末日期限で、他球団に支配下もしくは育成選手として移籍させることができます。移籍後も引き続き育成選手の場合、在籍期間は最初の入団時から通算されます。
移籍に伴う費用は、育成選手として移籍する場合は10万円、支配下選手として移籍する場合は30万円を、移籍先の球団が負担することになっています。
まとめ
支配下選手と育成選手の大きな違いは、1軍の公式戦には出場できない、背番号は3桁、参加報酬が最低230万円です。また球団の支配下選手がすでに70名に到達している場合は支配下登録されることはありません。
支配下選手内でも競争が激しい中で支配下としての1枠を確保しなければならず、選手層が厚いチームでは並大抵のことではないと思います。そんな中でも育成から支配下をつかんでいる選手もいます。一人でも多くの育成選手が支配下登録されるよう応援していきたいと思います。
今回は育成選手について調べてみました。
- 出典元
- 日本プロ野球選手会 公式ホームページ 日本プロ野球育成選手に関する規約
- http://jpbpa.net/up_pdf/1415704360-429657.pdf
- 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』育成選手制度 (日本プロ野球)
- https://dic.nicovideo.jp/a/育成選手制度_(日本プロ野球)
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